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地域に根差した通所施設を

山鹿市の中心部、山鹿燈籠踊りで有名な大宮神社の近くに「もくせい学園」はあります。事業の始まりは昭和53年5月、授産施設「山鹿福祉訓練所」としてスタートしました。その後、山鹿市を含む1市5町の地域にある「手をつなぐ育成会山鹿支部」や、障がい者の保護者の方々、各小中学校の支援学級の先生方などが「義務教育を修了した利用者が、家庭を生活の基盤として地域社会の中で自立を図り、地域に根差した通所授産施設を作ろう」という内容の運動が広がりました。

その運動を受けて、昭和62年、社会福祉法人宥明会として設立認可されました。宥明(ゆうめい)という法人名は、地元で親しまれていた宥明公園から名前がとられ、その約1年後に「もくせい学園」が開園しました。定員20名からスタートし、平成3年には10名増、平成8年には植木ワークセンターも開設されました。平成23年には植木ワークセンターを合併し、多機能型の福祉サービス事業所となります。作業は手作業でできるものからお金になればという想いで、割りばし袋詰めからスタートしました。現在も雇用されることが困難な利用者に、個性に応じた職業訓練や生活支援を行っています。

施設名 社会福祉法人 宥明会 もくせい学園
所在地 〒861-0531 熊本県山鹿市中619-3
開設年月日 昭和63年4月1日
ホームページ 開設準備中

つよいからだ・よい習慣・働く意欲

開設当初の理念である、①つよいからだ②よい習慣③働く意欲の3つの教えを大切にしながら利用者支援を行ってきました。事業所は、もともと地元の歯科医院所有の土地を寄付していただいたもので、開設にあたり山鹿小学校や山鹿中学校から歩いてくることができる場所に施設を作ろうという話になったといいます。利用者の方々は、その多くがバス等の公共交通機関や、周辺から歩いて通所されてきました。当初の施設は畑に囲まれ、小高い丘の上に立地しており、施設からの見晴らしはとてもよかったとのことです。現在では山鹿市の発展と共に、施設周辺には住宅地が広がってきています。

もくせい学園に通い、就労し、自宅に帰るという日々を丁寧に繰り返し、そのなかで、働く・休む、の区別をしっかりと行うなかで「つよいからだ・よい習慣・働く意欲」が身に付き、それが自立につながっていきます。

就任3年目となる大野朗久施設長はその長い歴史を踏まえながら、現在「他人(ひと)にやさしいもくせい学園」というスローガンをかかげ、利用者みんなが仲良く落ち着いて仕事ができるように運営を行っています。

生活介護20名、就労継続支援B型20名、合計定員40名の多機能サービスを行っており、開設当初からご利用されている利用者の方は1割程度残っておられます。退所され一般就労した方もいますし、施設に戻ってくる方もいます。

平成26年には、ご家族の要望によりグループホームも開所しました。グループホームについては親亡き後の心配もあり保護者からは要望が多く、今後定員を増やしていく計画があるといいます。

魅力的な就労支援を

もくせい学園の魅力は、何と言っても多岐に渡る地元密着型の就労作業項目です。陶芸・草刈り・電子部品の作業請負・販売会・八千代座のチラシ作り・百華百彩(竹灯籠)の準備・お菓子の箱折・野菜作りなどたくさんの就労項目が用意され、それぞれが地元山鹿との結びつきが感じられます。

就労支援は、作業の内容別に設定されているそれぞれの作業室内において流れ作業で行っています。もくせい学園の建物は平屋ですが長い年月の中で増設され、利用者支援のために上手に構造化されています。軽く20名は入る作業室が3部屋あり、リラックスできる休憩室、廊下には利用者の居場所作りであろうソファーやイスがさりげなく置いてあります。

地元の企業からの請負作業については、割りばしの袋詰めや果物のフルーツキャップ作業、漬物の箱のシールを貼ることなどを行っています。大手電気機器メーカーのオムロンからは、電子部品を扱う高度な作業も請け負っています。

数を間違えないように、フルーツキャップ作業が簡単にできるように、目隠しが必要な方には目隠しを、それぞれ職員が手作りで働きやすい環境が設定されています。

別の部屋では陶芸作業により、箸置きや工芸品としての置物、器等が製作されています。さらには、地元の国指定重要文化財である八千代座で公演するパンフレットや案内状等を封詰めする作業も行われています。この日は、歌舞伎役者である坂東玉三郎の講演パンフレットを1万枚封筒に入れる作業がなされており、利用者の丁寧な仕事ぶりは多数の地元企業から仕事を依頼されていることに納得させられます。

もちろん、就労支援だけでなく障害の重い利用者への生活介護サービスも丁寧に行われています。手先の訓練や食事、排泄等の支援、毎週水曜日福祉センターでの入浴支援や歯磨き、服のたたみ方の練習、創作活動、余暇、ゲーム等を実施しています。

地域社会の一員として

たくさんの作業を利用者一人ひとりに合わせて分類し、さらに工賃も向上させるための工夫をしながら就労支援をおこなっています。「不良品を出さないように、職員が最終チェックを確実におこなっています。」「利用者同士の相性があるので作業の座席は配慮をし、トラブル等ないようにしています。」「気持ちの切り替えができるように、休憩室でしっかり休んでもらっています。」等、施設内を歩いていると、職員の支援や環境づくりに対する工夫や努力がうかがえます。

施設の外にある、特設の作業用テント内では山鹿市の2月のビッグイベント“百華百彩”用の竹ぼんぼり作りが行われていました。“百華百彩”は毎年の行事で高齢化の影響もあり存続が危ぶまれていましたが、その“竹ぼんぼり”作りを、もくせい学園が仕入れから制作、納品まで全てを受けています。12月から準備をスタートし、畑にテントを張り6千個の竹ぼんぼりを作っています。材料は八女市まで竹を購入しにいき、それ以外では地元で安く譲ってもらえるところから準備しています。

もくせい学園では、それらの支援により利用者の自立を促進するとともに、地域社会の一員として、地域の人々と協調するなかで、特色ある施設づくりをめざしています。

〒860-0842 熊本市中央区南千反畑町3番7号 熊本県総合福祉センター内

TEL 096-324-5462 TEL 096-355-5440